HOME 疲労をもたらすさまざまな病気 男性ホルモンの低下が招く疲労~LOH症候群とは

男性ホルモンの低下が招く疲労~LOH症候群とは

しつこい疲労を感じている中高年の男性は、男性ホルモンの低下も考えてみたほうがいいかもしれません。男性ホルモンは年齢とともに少しずつ分泌量が減っていくものですが、その数値が平均値を下回った場合には、さまざまな心身の不調が出てくることがあります。

テストステロンってどんなホルモン?

テストステロン 男性ホルモンの中でも、代表格と呼べるのが「テストステロン」です。ほとんどが精巣で作られており、第二次性徴期ごろから分泌が盛んになります。 筋肉や骨が発達して男らしい体つきになったり、ヒゲや体毛が伸びたり声が変わりしたりするのも、すべてテストステロンの作用です。

他にも生殖に関わる機能や、血管を正常に保つ機能などがあるほか、テストステロンには「精神に関わる作用」もあります。たとえば意欲や闘争心、社会性などです。

昔から狩猟や争いをして食べ物を獲得し、コミュニティができてからはその中で社会的な役割を果たしてきた男性ならではの能力が、テストステロンには詰まっているといえそうです。

テストステロンが不足するとどうなる?

そんなテストステロンも、多くの男性では20代でピークを迎えた後、徐々に分泌量が少なくなっていきます。それはある意味では自然の摂理ですので、仕方ありません。

しかし減りすぎるのも問題です。血中のテストステロン値には、その年齢ごとの平均値というものが設定されているのですが、それを下回った場合には何らかの影響が出やすくなると考えられます。

たとえばテストステロンには、筋肉や骨を作る働きがありますので、減りすぎてしまうと筋量が少なくなって脂肪が増え、メタボ体型になったり、もしくは骨がもろくなって骨粗しょう症にかかりやすくなったります。

さらに生殖に関わるホルモンでもありますから、ED(勃起不全)や性欲の減退なども典型的な症状です。また女性の更年期障害でよく見られるようなほてりや発汗、不眠なども多く報告されていますし、もちろん全身倦怠感や慢性的な疲労感もあります。

そして見逃せないのが、テストステロン低下による精神症状です。前述した通り、テストステロンには意欲を高める作用もありますので、減りすぎてしまうと何事にもやる気が持てず、ぼーっとする時間が増えたりします。 また人によっては妙にイライラするなど人格が変わることも少なくないようです。

このように、男性ホルモンの分泌量低下によってもたらされる一連の症状を、まとめて「LOH症候群(加齢男性性腺機能低下症候群)といいます。また年齢的には50歳前後に多いことから、「男性更年期障害」と呼ばれることもあります。

LOH症候群は自覚しにくい病気

LOH症候群は、近年少しずつ注目を浴びるにしたがい、患者数もかなり多いことが分かってきました。受診していない人も多いため正確な数値は定かではありませんが、国内では40歳以上の男性のうち、およそ600万人が該当するとの試算が出ています。

ただし女性更年期障害と異なり、「閉経」のような分かりやすい目安がないこと、また男性の場合は個人差が大きいことなどが早期発見を難しくしています。たとえば30代でも既にLOH症候群になっている男性もいれば、70代でも十分なテストステロンが分泌されている男性もいるということです。

しかしLOH症候群を放置すると、そのままうつ病に移行することも十分にあり得ますし、色々な意味で社会に適応できなくなる可能性があります。またテストステロンには血管を健康にする作用もあるため、分泌量が少ないままだと心臓疾患にかかるリスクも高まることが分かっています。 ですから、うつ病などと同じく周りの人が変化に気づき、受診をすすめてあげることが大切です。

LOH症候群の検査方法とは?

LOH症候群が疑われる場合、泌尿器科の受診がもっとも適当でしょう。そこで、まずは血中のテストステロン値を測定します。この検査は午前中の早い時間におこなわれることが普通ですので、事前に電話連絡の上、予約の必要などを確認してから行ってください。

それぞれの年齢ごとに、テストステロン値の基準値は異なるのですが、一般的には「遊離(フリー)テストステロン」値が11.8pg/ml以下の場合、LOH症候群を疑うことが多いようです。

LOH症候群はどうやって治す?

LOH症候群と診断されれば、ホルモン補充療法の対象となります。これは女性更年期障害におこなわれる治療と同様、不足したホルモンを補うものです。日本では医師による注射のみが認可されており、保険適応にもなっています。

ただし男性ホルモンは、前立腺がんを進行させる働きもあるため、ホルモン補充療法を受ける前にはかならず前立腺がんの検査をおこないます。今では「PSA検査」といって、血液検査だけでがんの有無が分かる優れた腫瘍マーカーがあるため、検査は簡単です。

その後、2~4週に1度の割合で通院しながら注射を受けることになります。ホルモン補充はいつまでも受けるものではありませんので、様子を見ながら頻度を減らしていきます。 人にもよりますが、多くの患者さんは3~4ヶ月で症状の改善が見られ、また1年後にはほとんどの人がかなり元気になっているともいわれるほどです。

またED症状のある人には、バイアグラなどの治療薬が処方されることもあります。特にEDはLOH症候群の代表的な症状であり、多くの男性が悩んでいるものです。 最近ではバイアグラのジェネリック医薬品も登場していますので、コスト的にも負担が軽くなっています。

このように、疲労感には男性ホルモン不足による場合もありますので、思い当たる人はぜひ泌尿器科のドアを叩いてみてください。