HOME 疲労の基礎知識 慢性疲労症候群

話題の「慢性疲労症候群」

病的疲労の一つにも数えられ、最近患者数が増加傾向にある慢性疲労症候群。
単なる肉体的な疲労とは異なり、れっきとした病気であるとされています。
しかし、傍から見ているだけではその違いはわかりにくいでしょう。
その病態や原因、治療法はどのようなものでしょうか?

慢性疲労症候群の定義

慢性疲労症候群の定義 慢性疲労症候群(Chronic Fatigue Syndrome)とは、原因不明の疲労感が6カ月以上続いている状態を言います。
時には日常生活に支障をきたすほどの身体的・精神的疲労を訴えながら、全身をくまなく検査しても異常が見つからず、精神疾患の兆候も見られない場合に初めて疑われます。
しかし、未だ認知度が低いことから、うつ病や更年期障害、自律神経失調症と混同されることも多く、適切な治療を受けられていないという説もあるようです。
主な症状は激しい疲労感で、何とか動けるというものから自力では寝返りも困難なレベルまでさまざまです。患者の4分の1はほぼ寝たきりというほどで、こうなるともはや肉体的な病気と変わりませんね。
その他には、筋肉や関節の痛み、健忘や思考・記憶力の低下、睡眠障害や体温調節機能の乱れなど自律神経失調症に酷似したものもあります。
疲労の程度は10段階のPS値(パフォーマンス・ステイタス)によって表され、慢性疲労症候群の場合、「月に数日は社会生活や労働ができず、休息が必要」なPS3から「身の回りも自分ではできず、介助と終日就床を必要」な9までのどれかに該当します。

「慢性疲労」との違い

よく間違われますが、「慢性疲労」とは根本的に異なります。
慢性疲労は生活や就労に問題のない程度の疲労が続くもので、疾患であるとは考えられていません。
もちろん疲労の解消・回復は大切ですが、慢性疲労症候群とはその原因・経過からして別物でしょう。
ただし、何かのきっかけで慢性疲労症候群に転じる可能性もあるので注意してください。
自分でその区別をすることは難しいかもしれませんが、例えば体を動かすのに苦痛を感じたり、非常な努力を要するのであれば、慢性疲労症症候群を疑ってみるべきかもしれません。いくら休息を取っても疲れや眠気が取れないという状態が持続している場合も同様です。

原因はストレス?それとも他の病気?

慢性疲労症候群の原因はまだはっきりわかっていません。
しかし、専門家による研究が進められており、ストレスが大きく関わっていることが有力視されつつあります。
ストレスには日常生活の中で感じられる以外にも、その引き金となるさまざまなストレッサーが存在します。寒冷や騒音といった物理的なもの、怒りや不安などの心理的なものを始め、本人が気づかないうちにストレスを受けていることすらあります。
これらから体を守るために働くのが自己防衛機能で、この結果起こる自律神経の乱れに遺伝子やホルモン、脳・神経等の異常が加わって慢性疲労症候群の症状が現れると考えられていますが、まだ仮説・可能性の段階でしかないようです。

診療科はどこ?

慢性疲労症候群と診断されるには、ある程度の時間と検査、そして経過観察が必要です。
大基準として、「6カ月以上継続またはその50%以上の期間で繰り返して、日常・社会生活を阻害するような激しい疲労感を訴える」「病歴や検査結果、身体所見などから肉体・精神的な疾患を認めない」というものがあります。
これに加え、微熱や筋肉痛、疲労感やリンパ節の腫脹といった症状を併発していると、その数によって「慢性疲労症候群」または「疑い」と診断されます。
尋常でない疲労感に悩まされている場合は、まず内科を受診してください。
症状によっては大学病院など、より専門性の高い医療機関を紹介してくれます。
数は少ないのですが、慢性疲労症候群の治療を得意としているクリニックもあるので、通えるのであれば初めからそちらを受診してもよいでしょう。

治療しても再発するのでは?

慢性疲労症候群の予後は、残念ながらよいとは言えないようです。
完治が難しく、時には治療に数年を要するケースもあり、再発率も高いとされています。
主な治療方法は漢方薬や抗うつ剤など、それぞれの症状に合わせた投薬ですが、多くの慢性疲労症候群患者は薬剤に対して過敏な反応を示すことから、低用量の使用が勧められています。
その他には温熱療法やサプリメント等による代替医療、ビタミン類や抗疲労物質であるクエン酸やアミノ酸の投与があります。
また、早期に治療を開始するほどその効果が高く、症状が軽快しやすいので、「もしかして?」と思ったら早めに受診するようにしましょう。

慢性疲労症候群は、原因が特定されていないために、現在のところ対症療法しか治療法がありません。
また、適格な診断を下せる医師もまだ少ないのが現状です。
しかし、一定期間疲労感が持続するのであれば、ぜひその可能性を疑い、早期発見に努めてほしい疾患であることは間違いないのです。