HOME 疲労の基礎知識 疲労の原因物質、FF(ファティーグ・ファクター)とは?

疲労の原因物質、FF(ファティーグ・ファクター)とは?

疲れの原因物質として、長らく槍玉に上げられてきたのが「乳酸」です。しかし21世紀に入ってから、真の犯人が「FF(ファティーグ・ファクター)」というタンパク質の一種であることが分かりました。 疲れにくい体を作るためには、FFをいかに抑えるかがキーとなります。

疲労の真犯人はタンパク質だった!

タンパク質 乳酸は、運動をして疲れがたまると分泌されることから、疲労の原因物質として知られてきました。しかし実際は、むしろ疲労を回復する効果があることが確認され、今では汚名返上しています。

疲労の真犯人を突き止めたのは、東京慈恵会医科大学の教授、近藤一博氏の研究グループでした。マウスに激しい運動をさせた後で血中の成分を調べたところ、特定のたんぱく質が通常よりも数倍以上増えているのを発見したといいます。

さらに、そのタンパク質を他のマウスに注射すると、そのマウスの動きが鈍くなることも確認されました。つまり、このタンパク質こそが疲れをもたらす原因物質ということになります。 そこで「疲労因子」という意味を持つ英語、「Fatigue Factor(FF)」と名づけられました。

疲労の原因物質は、活性酸素によって生まれる

FFの発生プロセスと働きは、以下の通りです。

1.運動などによって大量の酸素を取り込むことで、体内に活性酸素が増える。
2.活性酸素によって細胞が酸化する時にFFが発生する。
3.FFが「疲労」の信号を脳に送り、筋肉の働きが低下する。

活性酸素は老化のリスクファクターとしても知られるように、DNAをも傷つける恐ろしい存在です。それによってFFが発生し、疲れが出てくると考えられています。 しかし逆に考えれば、FFが疲労の信号を送ることで、体を休ませることができるとも言えるのかもしれません。 ちなみに研究によれば、FFは肉体的な疲労はもちろん、精神的な疲労によっても増えることが分かっています。

傷ついた細胞を修復する「FR」とは?

生物の体はうまくできていますので、FFが発生した際には同時に疲労を回復するための物質も生まれます。それが「FR(ファティーグ・リカバー・ファクター=疲労回復因子)」です。

FRは、FFによって傷ついた細胞を治し、疲労を回復してくれるありがたい存在です。これによって通常は、疲労がたまっても少し休めば元気になることができます。

つまり慢性的な疲労を抱えている人というのは、FRが少ないために、FFの影響を強く受けやすいともいえるのです。特に歳をとればとるほど、FRを作る力が弱まるといわれています。 ですから疲れにくい体質を作るためには、FRをうまく増やしてあげることが大切です。

FRを増やすコツ~運動と休憩のメリハリをつけよう

疲労回復物質であるFRは、通常、FFと同時発生します。つまりFFが出てくるようなある程度の負荷が体にかかったほうが発生しやすいのです。 ですから「疲れているから運動しない」のではなく、むしろ「運動することで疲れをとる」ようにしたほうがいいでしょう。

とはいえあまり激しい運動もいけませんので、ウォーキングやスロージョギングなど、無理なく続けられそうなものがおすすめです。それをできるだけ毎日、数十分ずつおこなうことでFRの量が増え、疲れにくい体になっていきます。

また運動をして疲れた後は、ゆっくり体を休ませてあげることも大切です。というのも、FRは運動時だけではなく、リラックス時にも増えるからです。自律神経でいうと、副交感神経が優位になった時に増えやすいといわれています。

つまり、動く時はしっかりと動いて、休む時はゆっくりと休む…そんなメリハリをつけることが、疲れにくい体作りに役立つといえそうです。

FRを増やす「イミダゾールジペプチド」とは?

もう1つ、FRの産生に役立つ成分が確認されていますのでご紹介しましょう。それは「イミダゾールジペプチド」というアミノ酸です。

イミダゾールジペプチドには抗酸化作用があるため、活性酸素による細胞の酸化を抑えることができ、疲労回復に役立ちます。実際、疲労回復サプリとしてたくさんの商品に活用されているほどです。

イミダゾールジペプチドは、食べ物でいうなら鶏の胸肉やササミ、またはマグロやカツオといった回遊魚に多く含まれます。牛や豚などより、よく筋肉を使う動物の肉に多いのが特徴です。

ある実験では、トリ胸肉を1週間食べる前と食べた後とで同じ運動をおこなったところ、食べた後のほうが明らかに持続時間が長かった(疲れにくかった)という結果が出ています。 ちなみにトリ胸肉やササミなどは、筋肉を作るために欠かせないタンパク質でもある上、脂肪分が少ないですので、運動をする人にはぴったりの食材です。

ある程度の年齢になったら、運動の仕方にも注意を

とはいえ、誰しも歳をとると多かれ少なかれFRの働きは悪くなるといわれます。若いころはFFが発生すると、すぐにFRが出てきて細胞を修復してくれるのですが、加齢とともにFRの反応が悪くなり、FFの作用を止めきれなくなることが原因のようです。

また歳をとると、当然ではありますが体力も衰えてきますので、運動の仕方にも気をつける必要があります。前日の疲れが残った状態ですぐに激しい運動をしてしまうと、FFがますます増加してしまうからです。 疲れが抜け切れていないと感じる時には運動量を抑えるなどして、うまくバランスをとるようにしましょう。