HOME 「心の疲労」がもたらすもの ご存知ですか?「ストレス」の正体

ご存知ですか?「ストレス」の正体

肉体的な疲労よりも時には深刻とされる「心の疲労」。 実はそれこそがストレスの正体に他ならないのです。 初めはささいな違和感・不快感でも、度重なればだんだんと蓄積されていくもの。 軽微なうちに対策を講じるようにしてくださいね。

ストレスの「歴史」

歴史 もはや日本語と言ってもいいほど定着している「ストレス」、もともとは物理学(もっと詳しく言えば材料力学)用語であることをご存知でしょうか? 例えば、ゴムボールを外側から押すとへこみますが、放せばまた元に戻りますよね。 ストレスとはこの時ボールの内部に生じる応力のこと。 物体に変形や破壊をもたらす負担の大きさを表すのに使われます。

この反応は人体にも起こりうる、として「ストレス学説」を発表したのがカナダの生理学者ハンス・セリエ博士です。 ストレスを受けている状態では、内分泌系を中心にさまざまな影響が現れ、疾患の原因となることを提唱しました。 それ以降、ストレスと生体反応の研究は世界中に広まり、ますますその重要性に注目が集まっています。

ストレスの種類

ストレスの原因となるものをストレッサーといい、大きく4つに分類されます。 慣例や騒音といった物理的なもの(何年か前にニュースになった「騒音おばさん」などはその最たるものですね)、薬物や化学物質による科学的なもの、炎症や感染などの生物的なもの、そしてストレスの代名詞とも言える心理的なものです。

心理的ストレッサーには怒りや悲しみ、喪失、不安などが挙げられます。 特に身近な人や可愛がっていたペットの死、理不尽なクレームや叱責を日常的に受けることによって起こりやすいとされています。

ストレスはなぜ問題視される?

人間には自己防衛本能という機能が備わっています。 そのため、ある程度のストレスには体の方で適応して生体のホメオスタシス(恒常性)を維持しようとします。 つまり、こうした数々のストレッサーが存在するからと言って、たちどころに体に影響が現れるわけではないのです。 しかし、何事にも限度はあるもの。

常にストレスにさらされ続けていたら、どんなに優れた適応性を持っていてもいずれはそのバランスが崩れてしまいます。 「ラスト・ストロー」という言葉をご存知でしょうか。 限界まで荷物をその背に負ったラクダは、麦わら1本を足しただけでも背骨が折れてしまうと言われています。 人間の精神も同様。

ギリギリのところで持ちこたえている時には、ほんのささいなことでも致命的なダメージとなることがあります。その結果、一気に症状が現れたり、うつ状態に陥ってしまうことも珍しくないのです。

心が体にもたらす影響

ストレスによる生体への有害性に適応しようとする反応を適応性症候群と呼びます。 これには大きく分けて3つの段階があります。

警告反応期は最も初期にあたり、ストレッサーに対して警報を発し、それに耐えるための準備を始める時期です。 ショック相と反ショック相に分けられますが、特にショック相は急激な反応が表れるので注意が必要です。

血圧や体温の低下、筋肉の弛緩などが数分から時には1日程度続きます。 アレルギー反応もその一つと考えられるでしょう。 半ショック相はこうしたストレスへの適応反応が可能になったことを示すもので、ショック相の緩和が見られるに用になります。

次の抵抗期は一言で言うと「ストレス耐性ができた状態」です。 特定のストレッサーに対して適応反応が完了していると言えるでしょう。 しかし、この状態を維持するためにはかなりのエネルギーを消耗するもの。 ストレッサーを排除しない限り、根本的な解決にはなりません。 抵抗するエネルギーが足りなくなると、最終的な疲憊期に移行してしまう可能性があるのです。

疲憊期は生体がストレッサーに抵抗することができなくなった状態です。 ストレス耐性が徐々に衰え、体に影響が現れ始めます。 心拍や血圧、体温、血糖値などが低下したり、不安や動悸を感じるようになったら治療や休養が必要と言えるでしょう。

ストレスにも善玉・悪玉がある!

人間はまったくストレスのない状態でも物足りなさを感じると言われています。

テストや重要な仕事など、結果を出さなければならないプレッシャーは、それを乗り越えた時に非常な快感・達成感を得ることができるでしょう。 このように何か目的を達成するためのストレスは「よいストレス」とされています。

しかし、それが積み重なって本人が苦痛を感じるようになると、今度は「悪いストレス」になってしまうのです。

ストレスはなぜ表れる?

ストレスを感じると人間の体は前述したホメオスタシスの働きにより、副腎髄質ホルモンであるアドレナリンやノルアドレナリンを分泌します。 俗に「興奮物質」と呼ばれるものですね。

このため血圧が上がったり、汗が出たりするのです。 次に、その副腎髄質ホルモンによる症状を緩和するために副腎皮質ホルモン(コルチゾール)が分泌されます。

実はストレスによるさまざまな症状に関わっているのがこのコルチゾール。 過剰に分泌されると、慢性的な疲労や免疫反応の低下、肌荒れや薄毛を引き起こすと言われているのです。 適応反応も良し悪しといったところでしょうか。